グラフィックデザイナー独立奮闘記

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企業やお店のロゴの著作権って、どうなってるのか調べてみた

企業やお店のロゴの著作権って、どうなってるのか調べてみた

今回は、僕が今まできちんと勉強してこなかった『デザインの著作権(主にロゴデザイン)』について色々と調べてみたので、備忘録もかねてシェアしようと思います。

それでは。

普段あまり考えないけど、本当は大事なデザインの著作権

もともと、この問題について気になったのは、下のツイート記事を読んでから。

この記事を要約すると、外部のデザイナー側が『私が作ったデザインを、自分が知らない間にそのまま流用して、社内でちょこっとだけ変更(参考画像)して、市場に出すのは泥棒と一緒でしょ!』ということで会社側に訴えを起こしているという内容です。

こういうニュースって法律が絡んでて難しそうだったり、日々の業務に追われてあまり考えないようにしてきましたが、実はこの仕事をやっていれば結構近いようなことがあったりします。

たとえば、社内のAが作ったチラシのデザインを、来年は後輩のBが同じデザインで引き継いで一部変更しても厳密に言えば著作権法に引っかかるんだろうか…でも、そんなのよくあることだしな…同じ社内での出来事だから問題ないのか…とか考え始めると、キリがないですよね。

もちろん他社が作ったデザインデータを、クライアントから渡される場合もあるだろうし。

ロゴの著作権って、どうなってるの?

僕もちょうど新たに紹介されたお店から、名刺やポイントカードなどのデザインリニューアルと印刷を頼まれたのですが、そのお店は新規オープンではなく絶賛営業中のお店なので、当たり前のように元々別の制作会社Aで作ったロゴが存在していました。

当然のようにお店から、そのA社が制作したロゴデータをもらい僕がデザインのリニューアル案を作っていくわけですが、ここでふとした疑問が浮かんできます。

『あれ…?当たり前のように他人(他社)が作ったロゴを使って新しくデザイン作ったりしてるけど、このロゴを使うことは著作権の侵害にならないの?』

今までならそんなことを考えもせずに制作していましたが、上記のツイート記事を読んでいたので、なんだか気になってきました。早速Twitterで、その疑問を投げかけてみます。すると『リズさん』という、とっても素敵なデザイナーさんから返信がきました。(リズさんありがとー!)

なるほど。だからロゴって制作費が高いんだ!と、いまさら超納得してしまいました(笑)

でも冷静に考えてみれば、お店や企業のロゴを色んな販促物、たとえば名刺や封筒に使うたびに、いちいち制作者に確認とったりお金払ったりしてたら、めっちゃ効率悪いもんな。

そもそもロゴには著作権が存在しない!?

一応ロゴの著作権について、自分でもいろいろ調べてみましたが、企業などで使っているロゴには、そもそも著作権というものが存在しないという考え方が、やはりあるようです。

著作権は、「感情または思想を創作的に表現したもの」で「文芸・学術・美術・音楽」に発生する権利で、著作物を創作した時点で著作者に自動的に発生するとされています。特殊な状況を除いて出願・登録の必要はありません。しかし、商標や商品デザインの多くについては、上記の定義からすると企業の「思想を創作的に表現したもの」ですが、「文芸・学術・美術・音楽」ではないため「著作物」には含まれず、基本的には著作権では保護されません。

商標とは、シンボルマーク、ロゴタイプ、ロゴマーク、キャラクター、特徴的な商品のデザイン、看板など、企業の商品やサービスを他社と区別するためのもので、「企業の業務上の信用」を視覚化したものだととらえられています。商標法により、商標権の保護対象となるもので、商標権が登録され設定されている期間、専有的にこれを使用することができます。

もちろん、デザイナーに商標のデザインを依頼する場合にはデザイン費用がかかります。企業の信用の証として長期間使用する商標のデザイン費用は、チラシなどの日常的なデザイン業務より高額です。

ロゴマークに著作権はない──企業デザインと知的財産権 | 小さな組織の未来学
※現在上記サイトは閉鎖されてしまいました…

デザイナーからすると、ロゴの制作も立派に創作物な気がしますが、「文芸・学術・美術・音楽」ではないため「著作物」には含まれず、商標という扱いになるという考え方ですね。

一方こんな考え方もあるようです。

商標権とは、商標法で認められている権利で、登録した商標(トレードマーク)を日本国内で独占的に使用することができるようになる権利のことです。

一方著作権とは、ロゴマークはもちろん、イラストモチーフ、文章、音楽などの著作物を制作した人が持つ権利で、製作者の権利と財産を守るためのものです。製作時に著作権を完全に自社に移譲してもらっている場合は問題ありませんが、そのような契約がなかった場合、著作権法上の著作権は製作者にあります。

ロゴマークの制作に無料素材を使っている場合は気をつけなければなりません。商用・私用問わず利用が可能な素材であっても、著作権まで放棄していない場合も多いです。

ロゴマークに文字列を付けることは、パターンとして非常に多いケースだと思いますが、この文字に既存のフォントを使ったり、既存フォントの一部を改変して使う場合は注意が必要です。既存のフォント自体が第三者の著作物ですので、フォントの著作権者に了解をとらなくてはなりません。

ロゴマークの商標登録と著作権 〜後で後悔しないために〜

こちらのサイトでは、ロゴの制作者に著作権が存在すると明確に言っています。やはり難しい問題なので、意見も分かれるところなんでしょうね。そして、ここが重要なところですが、無料素材やフォントにも著作権が存在する場合もあると注意喚起しています。

さらに社内デザイナーが作ったデザインの著作権は、基本的には会社に属してしまうんですよーと言っているサイトもありました↓

法律では「職務著作」という制度を規定しています。おおまかな言い方にはなりますが、会社の従業員が会社の業務として著作物を創作し、その著作物を会社の成果として発表した場合には、その著作者は会社となり、すべての著作権は原始的に会社に帰属することとなるのです。

業務で制作したデザインの著作権は会社のもの?社員のもの?~職務著作にまつわる話

結局難しいロゴの著作権問題

う〜ん。今回いろいろ著作権のことを調べてみましたが、結果ぼんやりとしかわかりません(笑)わかったのは以下の3つ。

  • 著作権と商標権は違う。著作権とは主に芸術的な分野で、その創作者に発生する権利。場合によっては文化庁の著作権登録をすることも可能。一方、商標権とは商品名や企業名など、商売をするうえで他社と明確に区別するもの。こちらも申請のうえ登録が可能。
  • デザイナーやデザイン会社が、企業やお店のロゴを制作した場合は、納品された側は通常、無制限にそのロゴを自社の名刺や封筒、その他媒体などへの掲載が問題なく可能。ただし、制作者側が著作権まで放棄している訳ではないので、そのロゴを使ってオリジナルグッズなどを販売して二次的な利益を得る場合や、商標登録をする場合などは、制作者であるデザイナーやデザイン会社と相談のうえ、著作権を買取るなどの相談や取り決めを行う必要がある。
  • ロゴの制作費は、通常のデザインより長期間使用されるものなので、一般のデザイン費よりは高額になる。

ロゴやデザインの著作権問題は、一応法律でも決まっているのでしょうが、色んなシチュエーションや過去の判例など、恐らく多岐にわたるので、そういった場面に出くわした場合は、クライアントやデザイナーと相談するか、専門の弁護士などに相談するのがいいと思います。

僕もデザイナーなので、もちろんロゴの制作など承っております。ご相談は下記問い合わせからお気軽にどうぞ。
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まとめ

デザインのことならある程度の知識はあるけど、法律絡んでくるとやっぱり難しい…。でもデザイナーやっていくなら最低限の知識は必要なので、調べて良かった。

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