前回、グラフィックデザイナーであれば覚えておきたい、印刷物で使う紙の定番3種類という記事でお話したとおり、基本的にグラフィックデザイナーが印刷で使う紙は、大きく分けけると上質系、コート系(光沢あり)、マットコート系(光沢なし)の3種類があります。
今回は、これら紙の種類をふまえたうえで、僕がよくつかう『実際の用途に応じた紙の厚さ』などを、備忘録の意味も含めてシェアしたいと思います。
紙の厚さについて
印刷で使われる『紙の厚さ』は通常、〜mmではなく〜kgと呼びます。これは、原紙1000枚を重ねて計った重量を、そのまま紙の厚さの目安として表しています。当然、厚い紙の方がキロ数が重くなり、薄い紙の方が軽くなります。
印刷用の紙サンプルのなかには『四六判』『菊判』『A判』と表記されているものがありますが、これは原紙の大きさが違うことからくる表記の差で、印刷業界では一般的に『四六判(しろくばん)』を使います。複数表記されている場合は『四六判』を選びましょう。
※この記事でも紙の厚さは四六判を基準とします。※製紙会社によって紙の呼び方が違うかもしれません。
ちなみに、同じ180kgの紙だとしても、コート系の紙より上質系の紙は若干コシが強く感じられます。
名刺
僕が名刺で使うことが多いのは180kgか、それより少し薄いぐらいの紙。職種や個人の好みによってバラバラですが、通常は180kgぐらいの厚さがあれば名刺としては充分だと思います。
紙質はマット系か上質系を使うと、高級感が出てきます。光沢のあるコート系は一見華やかに見えますが、名刺として使うと安っぽくなる気がするので、僕はあまり使いません。
個人的には、上質系のアラベールみたいな質感の紙が好きなので、副業用として持ち歩いている僕の名刺はアラベール200kgに軽印刷1色で刷っています。
ショップカード
ショップカードに関しても180kgぐらいの紙を使うことが多いです。
ショップカードは、まだお店に来店したことのない人にも、お店の雰囲気を伝えることができる重要なツール。たくさんある紙のなかから、お店の雰囲気や特徴にピッタリ合った一枚を探しましょう。
質感のある紙や色付きの紙を使えば、表紙の真ん中にロゴを入れただけのシンプルなデザインだとしても、十分雰囲気がでてきます。
スタンプカード
スタンプカードでよく使うのは、ミラーコートゴールドの180kg。ミラーコートゴールドという紙は、表面がミラーのような光沢、裏面が上質紙になっています。
裏面が上質紙なので、スタンプを押しても、ペンで文字を書いても、乾きが早く手でこすってもにじまないので、裏面を捺印面にするようなスタンプカードのデザインには最適です。
ちなみにミラーコートプラチナという紙もありますが、これは表面がミラー、裏面がコート仕上げの紙です。
チラシ
こちらも用途や予算によって様々ですが、新聞折込などに使われるスーパーのチラシなどは、コート紙の53〜55kgぐらいが多いかと思います。(輪転印刷機の場合は45kgぐらい)予算をかけずに大量に印刷したい場合は53〜73kgぐらいで十分でしょう。
90kg以上になると、チラシとしては厚い部類に入るので『高級感を出したい』『商品の良さをアピールしたい』『安っぽくしたくない』などの場合は90〜135kgがおすすめ。
チラシの場合、90kg以下の薄い紙を使うと、両面印刷したときに裏面の絵柄が透けてしまいます。薄ければ薄いほど透けてくるので、予算も大事ですが、あまりにも薄い紙で両面印刷をしてしまうと、見づらく安っぽいチラシになってしまうので気をつけましょう。
通常90kg以上の厚さがあれば、『裏面の透け』はほとんど気にならないので、高級感を出したい業種の場合はなるべく厚めの紙を使ったほうが良いと思います。
ハガキ・DM
DMやポストカードでよく使うのは、官製ハガキとほぼ同じ厚さの180kg。僕はアートポストを使うことが多いです。アートポストはコート紙の中でもワンランク上のコーティングをしているので、写真などが入ったお店のDMなどにも最適。
DMの紙質で迷った場合は、無難にアートポストでいいかと思います。アンケートハガキなど『ペンで筆記する』項目がある場合は、上質やマットコートの180kgか、それよりやや薄いぐらいの紙がいいでしょう。
パンフレット
パンフレットは2つ折り・3つ折りなど、折ることを前提として考える必要があります。
あまり厚い紙を使うと、折っていない状態では良くても、折った状態では紙の厚さが2倍〜3倍にもなり、かさばってしまいます。
また、180kg以上の厚い紙を折った場合、折り目が盛り上がってしまい、見た目が悪くなることがあります。折りパンフレットに関しては、通常110〜135kgぐらいの厚さで十分。
僕の場合、落ち着いた雰囲気の会社概要的なパンフレットの場合、マットコートの135kgを使うことが多いです。
紙見本
最後に。
通常、印刷屋さんとお付き合いがある会社であれば、紙見本(種類や厚みが異なる何種類もの紙を綴じて冊子にしたもの)というのをもらえると思うので、紙見本を見比べて実際に刷り上がった印刷物を想像しながら、クライアントにも提案しましょう。
最近では不景気のあおりで、紙見本をもらえなかったり、個人でデザインをしている場合は紙見本が手元にない場合もあるかと思います。
そんな時は↓
業界最大規模の品揃えを誇る実績と信頼の「印刷の通販 グラフィック」で、会員登録するともらえる1000ポイントを使って、超立派な紙見本を無料で取り寄せることができます。(取り寄せる場合は、画面右上にある資料請求から紙サンプルを申し込んでください)
2018年2月追記:現在は初回登録でもらえる500ポイントと、初回注文したあとに送られてくるアンケートに答えるとさらに500ポイントもらえるようです。
正直、印刷屋さんからもらえる紙見本よりも充実したラインナップになっているので、もし手元に紙見本が無い場合は、ぜひ取り寄せてみてください。
参考記事:印刷通販グラフィックの会員登録から印刷注文までの流れ
まとめ
大雑把ですが、以上が僕がよく使う紙の厚さについてです。紙の種類は本当にたくさんあって、印刷屋さんでも「全てを覚えるのは不可能(笑)」と言っていました。
全ての紙を覚える必要はありませんが、自分がよく使うチラシやDMなどの紙と厚さを覚えておくと、今後仕事をするうえでなにかと便利なので、ぜひ覚えておきましょう。
ちなみに、いろんな種類の紙を見たり触ったりしていると、なぜかワクワクするのは僕だけでしょうか。
コメントや質問をどうぞ