グラフィックデザイナー独立奮闘記

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僕が普段やってる、打ち合わせからデザイン制作までの手順

僕が普段やってる、打ち合わせからデザイン制作までの手順

デザインを制作する過程は人それぞれ。今回は僕がデザインの制作依頼を受けて、打ち合せ→実際に制作→印刷にかけるまでの、ベーシックな場合の手順を備忘録として記録しておきます。少しでもみなさんの参考になればなと思います。

クライアントとの打ち合せ(デザインに関して)

例えば、これから新規オープンする美容室があって、チラシや案内状を作りたいとなった場合、最初の打ち合せでクライアントから聞き出す項目は色々とあります。たとえ必要な情報を聞きそびれたとしても電話などでなんとかなりますが、なるべく一度の打ち合せで全て聞き出すほうが効率的です。

デザインを作るうえで必要な情報としては

  • クライアントの店舗情報(店名・住所・電話番号・営業時間・メニューなど)
  • まだ店舗が出来ていない場合は、お店の雰囲気(アンティーク調なのか?、ナチュラル系なのか?など)
  • ターゲットの客層(男性、女性、年齢層など)
  • 打ち出したい内容(お店の特徴やキャンペーン内容など)
  • 素材があるか?(写真やロゴデータなど)
  • 納期(いつまでに必要か、いつ折り込むのか?)
  • 校正方法(デザインを出力して持参した方がいいか?メールで大丈夫か?など)

これらを聞き出します。

すでにクライアントの方で、チラシのイメージが固まっている場合は、より具体的に聞き出した方が後々の作業が楽です。お店のキーカラーなども、確認した方がいいですね。

クライアントが参考チラシなどを持っている場合は、それを借りてくるか、貸し出し不可の場合は、スマホで撮影させてもらい後で資料として使います。

ちなみに、スマホの撮影機能は本当に便利。以前なら打ち合せ時にクライアントの手描きのメニューを出され「書き写してください」なんてことがよくありました。内心「コピーしてくれよ!」と思いながら必死で書き写していたもんですが、今なら「写真とっていいですか?」と確認したうえで、ポケットからスマホを出してパシャと撮影するだけ。時間も短縮できるし、情報も正確だし、まるで『ポケットにカラーコピー機が入っているような便利さ』は、もはややめられません。

店内や外観もスマホで撮影しておくと、後々デザインをするときにイメージが湧いてくるので、とても重宝してます。あと、カメラ持っていくと重たいしね…

美容室や飲食店の場合、クライアントの手持ちの写真が有るか無いかの確認も重要。チラシに写真が入るか入らないかで、デザインの幅も大きく変わってきます。無ければ、撮影するといったことも視野にいれなくてはいけません。

納期が決まれば、そこから逆算して初校の日を決めていきます。クライアントには、印刷締切より1日〜2日前の締切を伝えます。そうすることで、クライアントからのレスポンスが遅い場合や不足の事態にも、余裕をもって対処できます。

クライアントとの打ち合せ(見積りに関して)

クライアントに見積りを出すさいに必要な情報としては、

  • 紙の大きさ(A4、変形サイズなど)
  • 片面印刷か?両面印刷か?
  • 印刷の色数(特色1色orフルカラーなど)
  • 紙の種類厚さ(この時点では、おおまか)
  • 印刷枚数(手撒きするのか、折込するのかなど)
  • 以前、違う業者に頼んでいた場合はその料金(聞ければ)

これらを聞き出します。

紙の大きさや片面印刷or両面印刷・色数などは、最初の打ち合せで方向性を決めてしまいます。ここが、ぼんやりしていると見積りの種類が多くなり、デザインも作りづらいので、ある程度の方向性を決めたほうがベターです。

紙の種類や厚さなどに関しては、この時点ではおおまかで大丈夫。クライアントが迷っているような場合は、少し厚めの紙で見積りをとっておきます。最終的な紙の確認で厚さなどに変更があったとしても、厚めの紙で見積りをとっているので、当初の金額より上がるということは少なくなります。逆に金額が下がるぶんには喜ばれます。

僕の場合は、印刷する枚数も、クライアントが考えているものより多めに見積りをとっておきます。例えば、クライアントが「5000枚ぐらいかな〜」と言う場合は、5000・8000・10000枚の見積りを用意するといった感じです。5000枚も10000枚も印刷代の合計がそれほど変わらない割には、一枚あたりの単価が変わってくる(合計枚数が多くなると一枚単価が安くなる)ので、見積りを見たクライアントが「それなら10000枚印刷しようか」ということがよくあるからです。

折込の場合は、クライアントから指定された折込エリアから部数を割り出して、予備も含めた印刷枚数で見積りをとります。

クライアントが以前に、他の業者さんに頼んでいた場合は、その時の金額を把握したほうが無難です。以前の業者さんの金額と、あまりにもかけ離れた見積りを出してしまうと話自体がポシャってしまう可能性があります。なので、できるだけ以前の金額に合わせる努力をします。デザイン制作費など、引けない部分はなんとか頑張る努力も必要ですが(笑)

これら、デザイン的な事と、見積りに関する打ち合せを一度に終わらせます。

参考記事:印刷物(紙物)の見積もりや料金を確認するのに必要な情報

情報収集、参考資料を用意する

見積金額にGOサインが出たら、クライアントから得た情報をもとにデザインの制作にかかります。(今回は案内状をつくる前提で)

まずは、その業種の傾向、クライアントから聞いたお店の特徴などを頭に入れながら、インターネットの画像検索や手持ちのチラシなどをもとに、参考資料を探していきます。インターネットの参考資料は一通り集めたら、インデックスにして1〜2枚の紙にまとめて出力します。過去に自分が作った同業種のチラシなども、参考資料として机の上に並べます。僕の場合は、とにかく必要な情報を机の上に並べて、それらを眺めなら頭の中で情報を整理していくというスタイルです。

同業種のチラシを事前に見ておくことで、その業種の傾向を把握することができるので、仮に初めてつくる業種のデザインであったとしても、的外れなデザインになることを防げます。

デザインの参考
デザインの参考をインデックスにして用意

 

 

クライアントとの打ち合せで、記録した情報も用意しておきます。

打ち合せ資料

ラフデザインを作成

集めた参考資料とクライアントから聞き出した情報を眺めながら、デザインに落とし込む情報を頭の中で整理していきます。必要であればインターネットなども活用します。

具体的には『案内状に入れる文章』『マップは必要か?』『その他に盛り込んだ方が良い情報はないか?』などを、お店の立地やクライアントとの話を思い浮かべながら考えます。ある程度、頭の中で整理できたら、今度はデザインのアイデアを書き出していきます。この段階ではアイデア出しなので、落書きのようにラフをたくさん書きます。

ラフ前のラフ
ラフ前のラフ案(アイデア出し)

いくつかのラフ案を書き終えたら、この中からイケそうなラフを選んで、今度は原寸大の大きさでラフを清書していきます。この時は、できるだけ仕上がりをイメージしながら正確なラフを書きます。写真などが入る場合は、原寸をイメージしてアタリをつけていきます。色もある程度、イメージして書き込みます。文章なども、ネットや過去に作ったものを参考にしながら、今回のクライアントのお店に合った文言を考えて手書きします。

ラフの清書
ラフの清書

Mapは、おもにグーグルマップでお店の周辺を探し、ストリートビューなども使用しながら、正確な情報を確かめながら作成します。ただ、グーグルマップで表示されている目印の建物が変更している場合もあるので、最終的にはクライアントに確認してもらうか、可能であれば現場に行って正確な情報を確認します。

このラフができれば、あとはイラストレーター(以下イラレ)に落とし込んでいくだけ。ラフの段階で、より仕上がりのイメージが頭に浮かんでいる状態の方が、作業も早く、出来上がりも良くなることが多いです。逆にラフの時点でイマイチな仕上がりの場合、作業も難航して、仕上がりもイマイチな場合が多いです。

なかにはラフなどを描かずに直接Macに向かって制作を始めるデザイナーの方もいますが、僕には出来ないので尊敬します。僕もデザイナーを始めたばかりの頃は、ラフを描かずに直接Macに向かって制作に入っていたのですが、途中でレイアウトに迷いが生じた時に、後にも先にも引き返せずに迷子状態になって何時間も過ぎていくことがよくありました。

今は、ラフを描き上げるまでは結構悩んだり考えたりしますが、ラフを描いたあとはイラレに起こすだけなので、割と作業は早いです。レイアウトで迷子になる回数も随分と減りました。時間配分としては参考資料を集める1、情報整理・ラフ1、イラレの作業2といった感じです。どちらにしても、この方法が自分には一番合っていると感じます。

イラレで実際の形に起こす

僕の中ではここまで来たら、半分以上の制作行程が終わったようなもの。あとは原寸のラフを見ながらイラレで最終的な形に起こしていきます。

途中、イラレでの作業中に思いついたアイデアを付け足したり、ラフのイメージをイラレに持って行った時にパッとしなかった部分を変更することもありますが、イラレで行うのは基本的にラフデザインを忠実に再現することです。イラレ上でレイアウトを考えることは、ほとんどありません。

関連記事:イラレで作業する前にガイドラインを設定して良いデザインに

デザイン完成
デザイン完成

 

校正→修正→校了→下版

このように制作をして、デザインが上がったら初校を出すまえに一度軽く文字校正をします。この時は、これから修正なども入ることを考えて、住所や電話番号などの文字情報に間違いないかを軽く確認する程度です。問題なければ初校をクライアントに提出します。

初校をクライアントに見せ、デザイン的に問題なければ、あとは修正→校正を繰り返して最終OKまでこぎつけます。校正の方法はメールなどで問題なければ、メールで流します。メールなどが使えないクライアントの場合は、初校のみ出力を持参して、あとはLineでやりとりするという場合もあります。Lineは画像も流せるので、校正時にとても重宝しています。

参考記事:原稿の校正でLINEのPC版を使うようになったら、めっちゃ便利だった

何度かクライアントとやりとりをしながら、最終段階に近くなってきたら、再度クライアントのところへ訪問し、最終的な見積りや紙の確認、色の校正、納品・集金方法などを確認して、クライアントとの最終チェックを終わらせます。

クライアントからのGOが出たら、再度最終文字校正を行います。この時は、黄色い蛍光ペンで一字一句、誤字脱字が無いかチェックします。以前、誤字や脱字を見逃して印刷までかけ大変な目にあっているので、面倒ですが必ず最終文字校は自分で行います。

問題なければ、印刷にかけて納品して無事終了です。

まとめ

今回の方法は、あくまでも僕が行っている手順です。デザインの進め方は人それぞれ、いろんなやり方があると思います。自分に合った最良の方法を見つけるようにしてください。

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