グラフィックデザイナー独立奮闘記

失敗も後悔も振り返れば全てが成長。そんなグラフィックデザイナーがフリーランスになるまでのアウトプットブログ。

Read Article

副業をするときのデザイン代や印刷代の金額について(イラレで使える見積書付)

副業をするときのデザイン代や印刷代の金額について(イラレで使える見積書付)

これから副業しようとしているデザイナーさんや、「今は事務所でひたすら作ってばかりだけど、これからお客さんと直接やりとりしたい」という方に向けて、僕がいままでやってきた副業の知識と経験の範囲でいくつかの情報を共有します。

金額などは、あくまでも僕の副業レベルの話なので、参考程度に。

まずは見積り

なんといっても、これからお客さんになりうる『見込み客』も含めて、たいていのお客さんはまず金額を聞いてきます。副業レベルであればなおさら。よっぽどあなたのデザインに惚れ込んでいて、「いくらでも払うから作ってよ」という場合を除いて、ほとんどが金額の話からになると思います。

「例えばお店のロゴ作るとしたら、どれくらいかかるの?」「チラシって1000枚ぐらい作ったらどのくらいかかるの?」みたいな感じで。

ここで、どれくらいの金額を提示するかで、その見込み客があなたのお客さんになってくれるかくれないかの分かれ道といってもいいと思います。僕も副業を始めたばかりの10年ぐらい前に、知り合いからデザインを頼まれ、今思えばショボいデザインにも関わらず相場がわかっていなかったので結構高い金額を請求したりしていました…

今考えると恥ずかしいけど、やっぱり相場を知るというのは大事です。ただ、こういった金額的なことは相手が『個人なのか法人なのか』『リピーターになるのか一回の発注で終わるか』といったことも踏まえて値付けをする必要があるので、非常に難しい問題です。

僕の場合は、とにかく場数をこなしながらたくさんの値付けの失敗をして、感覚として覚えていった感があるので、みなさんも臆することなく『自分の価値をお金に変えるとどれくらいか?』ということをよく考えて提示すると良いかと思います。

ちなみに僕は、普段から会社で制作する仕事などでも『自分が独立したときには、これぐらいの金額で受けたい』と日々、制作費や印刷代のことを考え、シュミレーションしています。

具体的な制作費(デザイン代)

僕が副業でお店のロゴなどを作る場合は最低3万円からという金額を提示することが多いです。あとは内容などによって調整します。3万円というのが安いのか高いのかは個人差があるかと思いますが、僕は安いと思っているので、もっと力をつけてゆくゆくは金額アップしたいところです。
2018年1月8日追記:ロゴのデザイン代はある程度高くても大丈夫というのがわかる記事を書きました→企業やお店のロゴの著作権って、どうなってるのか調べてみた

そのほかの制作物の場合は、現状では自分の価値を時給3,000円と換算して見積っています。(なんで時給3,000円なのかは、また別の機会に…)
2018年1月16日追記:なんで時給3,000にしているのか?という記事を書きました→フリーランスや副業で役立つ、デザイン代(製作費)の算出方法

例えば、トータルで7時間ぐらいかかると見込んだ仕事の場合、3,000円×7時間=21,000円。この7時間という時間には修正にかかる時間や打ち合せなどにかかる時間も含めます。

何度もお仕事を頂いているお客さんの場合は、だいたいの修正行程も見えてくるけど、初めてのお客さんの場合はどれくらいの修正が入るのかわからないので、時間的には少し多めに見積るようにしています。

デザイナーというのは自分の時間と技術を使ってクライアントに価値ある商品を作るお仕事。自分の価値を自分で値付けするって本当に難しいですね。

印刷物などに掛ける金額

印刷物などの場合は枚数などにもよりますが、印刷屋さんからの見積りに決まった倍率を掛けていきます。僕の場合は印刷代金に上乗せして出していますが、名目をつけるとするなら印刷業務進行管理費といったところでしょうか。

僕の勤める会社(広告代理店)では、合計したときに会社に残る利益が3割になるように印刷料金に上乗せして見積りを出すというやり方。

例えばチラシ1000枚で印刷業者からの見積りが9,000円の場合、9,000円×1.5=13,500円。クライアントに13,500円請求して、印刷屋さんに9,000円の支払い。その差額4,500円(請求額の約3割)が印刷の利益になります。(あくまでも一例です。会社によって違いがあると思います)

ただ、会社の仕事では基本的に地元の長年付き合いのある業者さんに発注しているので、僕の副業となると計算式が大幅に変わってきます。

僕が副業で使っているのは、基本的にインターネットで発注する印刷業者さんです。
参考記事:僕が副業でよく使うネット印刷通販まとめ

ネットの印刷業者さんは、地元の印刷業者さんに比べて金額が1/3だったりします。印刷料金の倍以上の利益を上乗せして見積りを出しても、地元の印刷屋さんに比べると安い印刷代でお客さんに商品を提供できます。

例えばチラシ1000枚のネット印刷の見積りが3,000円だとすると、3,000円×3=9,000円。クライアントに9,000円請求して、印刷屋さんに3,000円の支払い。その差額6,000円が僕の印刷代の利益になります。

同じ条件のチラシでも地元の業者を使うと13,500円のところがネット印刷では9,000円でお客さんに提供できて、なおかつ利益は地元の業者を使うと4,500円のところがネット印刷だと6,000円と自分の取り分が多くなるので、納期などをクリアできるのであればネット印刷通販を使うメリットは大きいです。(もちろん、地元の印刷業者さんに頼んだ方が良い場合もたくさんありますが、それもまた別の機会に…)

あとは、枚数が増えてきた場合は掛け率を下げていきます。例えば、1000枚の場合は×3だけど、5000枚の場合は×2.9、10,000枚の場合は×2.8とか。掛け率を下げると利益も減るのではと思うかもしれませんが、枚数が多くなるとトータルの金額が大きくなるので、多少掛け率を減らしていっても利益は減りません。実際に計算して、クライアントが喜んで、なおかつ自分の利益も増えるような、自分なりの掛け率を確立しておきましょう。

制作費+印刷代の複合利益

僕は新規で作るチラシなどの場合、上記で計算した制作費と印刷代を別項目とした見積りを作って提出します。制作費は初回または、原稿が変わる場合に発生するようにして、前回と同じ原稿(在版)で再注文が入った場合は制作費を抜いた印刷代だけを請求します。

新規で作る場合や修正がある場合は、もちろん制作に時間がかかるので制作費を頂くのは当たり前ですが、在版の再発注でも多少の手間や時間はかかります。なので、印刷代にもきちんと利益を乗せる、あるいは手数料をとれるような見積りを提出しておかないと、後々ただ働きをしてしまうはめになるので気をつけましょう。

最近ではネット印刷の料金を熟知しているお客さんも増えてきたので、そういった場合は、正直にネット印刷の料金をそのまま提示して、別途『印刷データ制作代行料』といった名目で作業に応じた手数料を頂くようにします。

お客さんからすると、ネット印刷の業者に不備のない下版データを入稿するということはハードルが高い場合が多いので、別途手数料を払ってでも入稿までお願いされることは多いです。

金額はケースバイケース

ただ、杓子定規に決まりきった金額を提示していても、『融通の効かないデザイナーだ』と思われて、その後の展開が無くなってしまうといった残念なケースも考えられるので、制作費は状況に合わせて柔軟に考えることも大切です。

僕の場合だと、初めてのお客さんに「予算はどのくらいですか?」と聞いて、受けられるかどうか判断する場合や、逆に「金額はおまかせしますよ」とお客さんに丸投げする場合もあります。

場合によっては無料で受けることさえあります。無料と聞いて「何故?」と思う方もいるかもしれませんが、お客さんによっては、その後の展開などを考えると『最初は無料で受けておいて、その先にある売上げを頂く』というメリットの方が大きい場合もあるからです。

さすがに、実費がかかってしまう印刷を「無料でやりますよ!」とは、なかなか言えませんが、制作という部分でいうと、かかるのは自分の時間だけなので『損して得取れ』ではないですが、そういった考え方も重要視しています。

最後に、話が進んでくると正式な見積書を出す機会も増えてくるかと思います。僕が副業で使っているイラレで作った見積書がこちら↓

見積り書

計算式が入っている訳ではないので、電卓で計算しながら金額を打ち込んでいくスタイルですが、副業レベルでいえばイラレで作ったこんな見積書で十分です。

下記からダウンロードできるので、みなさんも必要に応じて修正して使ってください。(イラレのバージョンはCS1)

まとめ

とにかく、グラフィックデザイナーが制作を受けて金額を出すというのは、コンビニの商品のように定価が決まっているわけではないので、とても難しいです。同じ内容で同じ金額を提示しても、クライアントによって反応も千差万別です。

とにかく数をこなして、自分の価値(制作費)を感覚で捉えていくのが良いのではと個人的には思っています。

強気の金額提示を心がけるのも今後の目標!

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 7 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. はじめまして、デザイナーのニグリデザインと申します。
    こちらの記事、とても参考になりました(^^)/
    年齢が近い点、独立を目指している点、会社に在籍しながら副業をしている点など・・・
    とても似通っている点が多いので、記事内容にも共感しております。
    これからチェックさせてくださいね、よろしくお願いいたします(_ _)

    • ニグリデザインさん、こんにちは。
      記事がお役に立てて良かったです!
      ニグリデザインさんも独立を目指しているのですね。
      お互い頑張りましょう!
      今後も色々と情報交換していきましょう。

  2. はじめまして
    yama.と申します。
    こちらのブログで気になる記事があったのでよく拝見しております(^^)
    とくに見積書が参考になったのですが、少し疑問に思った事があったので質問させて下さい。
    デザイン料について源泉を引かなくていいのでしょうか。
    自分は素人なのでよく分からないので教えて頂けるとありがたいです。よろしくお願いします。

    • yama.さん、はじめまして。
      コメントありがとうございます。そして、お返事遅くなり申し訳ありません。
      源泉徴収に関しては、僕もまだフリーランスとしてやっている訳ではないので、正直あまり詳しくありません。
      今後フリーランスを意識した場合には勉強しなくてはいけない項目だと思っています。

      ただ、こちらの記事にあるように法人がフリーランスにデザインなどを依頼する場合は、厳選徴収を引いた金額で支払われるようです。

      個人事業主やフリーランスが請求書を発行する場合、どのみち徴収される源泉徴収額を請求書に書くべきなのでしょうか?
      まず、取引相手も個人事業主やフリーランスの場合、相手は源泉徴収する義務はありませんから、当然、請求書に源泉徴収額を記入する必要はありません。
      それ以外、法人が取引先の場合、どちらにしても源泉徴収されて支払われるので、請求書に記入してもしなくてもかまいません。ただ、確定申告での処理を考えると、記入した方がいでしょう。あるいは会計ソフト等で源泉徴収の項目を作っておくと便利です。
      引用元:請求書の基礎知識

      ということは、デザインの見積りにも源泉徴収で差し引かれる分を考慮した金額を出さないと、実際に思っていたより手取りが減るということなんですね。きっと…。
      今後フリーランスになったときに、避けては通れない問題を気付かせて頂きありがとうございました!
      今後とも宜しくお願いします。

  3. はじめまして!hamaと申します。
    会社つとめをしていますが、個人的なデザインのお仕事もはじめつつ有ります。

    金額の事、とても参考にさせて頂いております。
    ありがとうございます。

    1つ質問なのですが、自分が仲介して業者さんにお願いしたときも
    やはり見積もり金額の×1.5倍ぐらいで、お客様に請求しても問題ないでしょうか?
    (やり取りやデータの作成は私の方でやりました)

    宜しくお願いします。

    • hamaさん、こんにちは。

      そうですね。
      この辺は、決まりがないので、あくまでも自己判断とクライアント次第ということにはなるのですが、
      基本的には自分がかかった手間賃はもちろん、請求してもいいと思います。

      それが、時給3,000円×何時間にする、印刷代とは別の項目にする、印刷代に含めるなど、それぞれシチュエーションによって分ける必要あります。
      なので、hamaさんのおっしゃる、金額の×1.5倍が、仮に6,000円だったとして、自分の手間賃として割りにあうか?も考える必要あります。
      データの作成して、やりとりして、1時間くらいで終わる作業なら、いいのかもしれません。
      1日仕事だと全然割に合わないと思います。
      今回はいいとしても、今後リピート入ったときに本当にその金額でいいのか?
      そういうことも考えて値付けしてください。

      とはいえ、クライアントから高いと言われればそれまでですし、クライアントの金銭感覚も千差万別なので、一概にこれがいいとは言えないのが、この仕事の難しいところでもあり、面白いところでもあります。
      とにかく、たくさん経験してください。

  4. 印刷物にネットとはいえ3倍も乗せるってのは初めて聞きましたね。1.5でも高い。

コメントや質問をどうぞ

*
*
* (公開されません)

Return Top