グラフィックデザイナー独立奮闘記

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コンセ(簡易校正)と本紙校正(本機校正)の違いと、特色印刷での注意点

コンセ(簡易校正)と本紙校正(本機校正)の違いと、特色印刷での注意点

先日こんな質問が来ていました。

はじめまして!
これからグラフィックデザイナーとしてフリーで活動しようと思い、ブログを参考にさせていただいてます。
そこで質問ですが、納品前に印刷見本を送ってくれる印刷会社はありますか?

by ぴかこさん

質問の返答にも書いたのですが、これはおそらく「印刷前に試し刷りができる印刷会社はありますか?」ということだと思うので、今回はこの『試し刷り』について書こうと思います。

色味の違いによるトラブルはよくある

僕も最近でこそあまりなくなりましたが、以前は印刷の色味の違いでトラブルになることがよくありました。

会社のプリンターから出力した校正紙でクライアントとやりとりをして、いざ印刷をかけて納品になった時に「え!?色味が全然違うじゃん」ってことや、特色1色でデザインを作っていて、印刷をかけると中間濃度の色味が全然違っていたり…

今思えば当たり前なんだけど、当時は印刷と出力の違いもよく分かっていなかったので、それらが感覚的にわかるようになるまで、たくさんの失敗をしてきました。

僕が今まで経験してきた色味の違いによるトラブルは、おおむね以下のようなことが原因です。

出力(プリンター)と印刷の違い

まず、皆さんが会社や自宅で使っているレーザーやインクジェットプリンターと、実際の印刷に使われているオフセット印刷機では、そもそもの方式が違います。

レーザープリンターはトナーを熱転写して紙に定着、インクジェットプリンターは液体のインクを紙に吹き付けてプリントします。

一方、オフセットの印刷機は、まず版を作り、その版にインクを乗せブランケットを通して紙に転写させます。(詳しくはこちら↓)
オフセット印刷とは?

これら方式の違う『出力』と『印刷』の仕上がりを近づけるためには、印刷を発注する会社のカラーチャートに自社のプリンターの色設定をシュミレーションしておく必要があります。さらに細かくいうと、モニターのキャリブレーションも統一しておく必要があります。

同じオフセット印刷でも特色刷りの場合はさらに複雑

オフセットのフルカラー印刷ではCMYKのプロセスインクを使います。プリンターの出力も基本的にはCMYKのインクかトナーを使うので、色の再現の仕組みでいえば同じとなります。一方、特色印刷の場合はちょっと違います。

特色印刷とは?

プロセス印刷では表現しきれない色みを表現するため、特色インキを使用する印刷。網点の刷り重ねでは色の濁りが生じてしまうオレンジ色や金赤(朱色がかった赤)、薄い赤や青の他、プロセスインキでは再現できないパール、金銀、蛍光色で特色インキを使って印刷すると、美しい色みで印刷できます。また、特色インキを使用することで、印刷条件の変動に左右されずに一定の色を安定して再現することができます。会社名、商品名のロゴや包装紙などには特色インキがよく使用されます。

特色印刷とは? by DICグラフィックス株式会社

通常は、特色印刷用に作ったデザインの場合も『レーザープリンターなどで出力→それをクライアントに提出(カラーチップも提示)→OKが出た時点でDicなどのカラーチップで印刷屋さんに指示をする』ことが多いと思います。

特色100%時の色味は、頑張ればプリンターの出力でも合わせることができます。ところが、特色の中間色を使ったデザインの場合、実際の刷り上がりとプリンターの出力を合わせるのがとても難しい、というか不可能に近いです。

それでは図で解説します。

特色のデータ

濃度100%の特色だけしか使わないデザインの場合は、同じ色味をプリンターから出力することができれば、刷り上がりもほぼ同じ物が出来上がってくるのでそれほど問題ないです。

僕は特色印刷の場合、いつもDicのカラーチップを使います。ただ、プリンターの出力とカラーチップの色が結構違うことが多いので、ついつい時間短縮で『プリンターの出力の色を印刷屋さんに合わせてもらう』という裏技を使うことがあります。

具体的にいうと、イラレの特色100%で作ったデザインをプリンターから出力してクライアントとやりとりし、最終的に出力した紙見本を印刷屋さんに渡して、「この出力紙の色でクライアントとやりとりをしているので、印刷もこの色に合わせて下さい」と指示します。(印刷屋さんからはカラーチップで指示をして欲しいと嫌がられますが…)

話しがそれたので本題に戻ります。特色印刷で気をつけなければいけないのが、特色印刷の中間濃度を使ったデザイン。たとえば、イラレ上で特色50%ぐらいの色を使いプリンターから出力→クライアントに校正→実際の印刷→仕上がりの色が出力と違う、ということがよくあります。

特色印刷のデータ

特色をCMYKに分解するとこんな感じのパーセンテージになりますが、ここで特色印刷という印刷の方式を実際に想像してみましょう。

レーザーやインクジェットの出力(プリント)、そしてオフセットのフルカラー印刷ではCMYKの網点を重ねて色を再現しているのに対し、特色印刷の場合、実際は特色という1種類のインクを使って印刷します。(注:特色1色印刷の場合です。特色2色の場合はもちろんインクも2種類)

ここで重要なのが、特色印刷ではそのインクにシアンやイエローというプロセスインクの要素が入っていないということ。上の例でいうと、あるのはDic643という1種類のインクだけなのです。

イラレ上ではDic643の50%がシアン50.2%とイエロー43.17%で作られているように見えますが、実際の特色印刷ではあくまでもDic643という1種類のインクで、1版の網点を細かくすることで色が薄くなったように見せているだけです。

なので、CMYKの混合で色を再現しているプリンターの出力と、1種類のインクだけを使って色を再現する特色印刷では、実際の刷り上がりがこんなに違ってきます。(※あくまでも僕の経験から予想した色です↓)

特色印刷の刷り上がり

プロセスインクを使った印刷と特色印刷の仕組みの違いがわからないと、理解するのが少し難しいかもしれませんが、特色印刷で中間濃度を使った場合、予想以上に色味が変わってくることがあるので注意してください。僕も過去に何度か、これで痛い目にあっています(笑)

印刷における試し刷りの重要性

前振りが長くなってしまいましたが、以上のことを踏まえて本題の試し刷りについてです。

いくらDTPが発達したといっても、上で説明したように印刷機と出力機の方式の違い、各会社にあるプリンターの違い、特色印刷とフルカラー印刷の違いなどで、思わぬトラブルを引き起こすことはよくあります。

失敗しても簡単に刷り直しができるのであればいいですが、何万枚もの印刷が終わってから「色味が違う!!!」と気付いても後の祭りです。そうならないためにも、印刷前の試し刷りというのはとても重要になってきます。

試し刷りは基本的に2つの方法がある

僕が普段、仕事で使っている試し刷りといえば『コンセ』と『本紙校正』。ただ、今回の記事を書く際に色々と調べてみたところ、試し刷りにも色々な方法や呼び方があるようです。

印刷方法も日々進化しているので、一昔前の印刷方式の名残りだったり、現在主流の試し刷りの方法だったり、印刷会社の違いや、出版系かチラシ系かなどでも色々と違いがあるんですね。こちらの記事が大変わかりやすく勉強になりました↓
今さら聞けない印刷用語集 その17「色校正」

僕が普段やっている『コンセ』と『本紙校正』が印刷業界のスタンダードなのかはわかりませんが、とりあえず今回は僕の経験と今まで使ってきた言葉、そして知識でお話しようと思います。間違っていたらごめんなさいm(_ _)m

コンセ(簡易校正)

コンセ(正式にはデジタルコンセ、またはデジタルコンセンサス)。これは簡単にいうと、インクジェット出力のこと。オフセット印刷などの印刷前に、簡易的に色味を確認したい場合の試し刷りです。

正確にいうと実際には印刷するわけではないので、試し刷りではなく出力です。

具体的には、発注する印刷屋さんにデータを渡す→印刷機と同じ色味にシュミレーションされた専用のインクジェット出力機で出力してくれる。

それを確認して色味に問題がなければ、その旨を印刷屋さんに伝えます。すると印刷屋さんの方で、そのOKが出たコンセを確認しながら、実際の印刷機のインクの量などを調整し、そのコンセに合わせた色味で印刷をしてくれます。(印刷屋さんによって方法は違うかもしれません)

コンセの場合、出力と印刷というそもそもの方式が違うので、実際の印刷と全く同じ仕上がりにはなりません。あくまでも色味を確認するための、簡易用の試し刷りという認識でいましょう。

料金に関していうと、僕がいつも頼んでいる地場の印刷屋さんでは、基本的にコンセは無料。ただ、ネット通販系の印刷屋さんの場合、コンセを出すだけでも料金が発生するのではないかと思うので、事前に確認したほうがいいでしょう。

本紙校正(本機校正)

本紙校正とは、実際の紙に実際の印刷と同じ方法で試し刷りをすることです。こちらは、本番と同じ方法で印刷するので、基本的には実際の仕上がりと全く同じものが出来上がってきます。

色がシビアな印刷物やロットの多い印刷物の場合、本紙校正で実物を確認したうえで印刷をかける方が確実です。ただ、本紙校正の場合、実際にインクや版を用意して→機械をセットして印刷、という手間がかかるので結構な金額が発生します。

例えば、オフセットで5000枚とか10,000枚ぐらいを印刷するのであれば、実際の印刷と同じくらいの本紙校正料がかかるのではないかと思います。(本紙校正の金額は各印刷屋さんによって異なります)

どちらにしても、印刷の枚数やクオリティを加味しながらクライアントの予算と相談しましょう。普段付き合いのある印刷屋さんであれば、印刷を発注することを前提に話すことで、本紙校正も格安で予算に組み込んでくれるかもしれません。

上で話した特色印刷で中間濃度を使うような場合も、心配であれば本紙校正を出したほうがいいでしょう。ただ、そこまで予算がない場合は、クライアントに「これはあくまでも色予想の出力です。実際の刷り上がりは若干の色味が変わる可能性があります」と念押ししたうえで印刷をかけたほうが確実です。

余談ですが、以前(おそらくDTPが導入される前の写植の時代)は、今ほどカラープリンターやMacを使っての校正が発達していなかったので、印刷仕上がりの予想がとても困難だったようです。なので、本紙校正が当たり前に行われていて本紙校正専門の会社もあったと、当時を知る人から聞きました。今では、それほど需要がないので、ほとんどの会社がなくなったようですが…

オンデマンド印刷の場合

最近、オンデマンド専門の印刷屋さんって結構ありますよね。オンデマンド印刷の場合は、印刷といいながらも実際はレーザープリンターに近い出力機で出力しているので、印刷屋さんから出してもらうコンセ(簡易校正)がそのまま本紙校正(本機校正)と同じになることが多いです。

僕が頼んでいるオンデマンド専門の印刷屋さんは、無料でコンセ(本紙)を出してくれるので、色が不安な場合は必ずお願いしています。

僕の経験では、オフセットのフルカラー印刷よりもオンデマンド印刷の方が、『印刷屋さんによる色の違いが多い』気がしているので、オンデマンドの時こそ積極的にコンセ(本紙)をお願いしています。

まとめ

予算や状況を見極めて、コンセ(簡易校正)と本紙校正(本機校正)をうまく使い分けましょう。

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