グラフィックデザイナー独立奮闘記

失敗も後悔も振り返れば全てが成長。そんなグラフィックデザイナーがフリーランスになるまでのアウトプットブログ。

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デザイナーがまず考える事は商品やサービスを利用するエンドユーザー

デザイナーがまず考える事は商品やサービスを利用するエンドユーザー

グラフィックデザイナーの着地点はクライアント(発注者)をよろこばせる事です。
その対価としてクライアントからお金をいただきます。

ただ、そこでひとつ勘違いしてはいけません。

それは、必ずしも「クライアントの好みのデザインを作る」=「クライアントが喜ぶ」ではない、という事です。

グラフィックデザイナーが作った制作物は最終的にエンドユーザー(消費者)の目に触れて初めて効果が現れます。
エンドユーザーの視覚に訴えかける事によって、クライアントの商品やサービスをエンドユーザーが購入する。
そこで初めてクライアントの利益につながり、最終的にクライアントが満足するというのが本来の姿です。

クライアントがあなた以上に客観的にデザインを見れる相手であれば良いのですが、たいていのクライアントはデザインの素人である場合が多いのです。
デザインを全てあなたにまかせてくれるクライアントならいいですが、なかには強烈な思い込みで世間の感覚とずれてしまっているクライアントも大勢います。
こんなクライアントの場合は、たとえクライアントの喜ぶデザインを作ったとしても、最終的にはクライアントの利益につながらないこともあります。

永ちゃん風の男らしいロゴを使ったケーキ屋さんが流行るか

例えば、あるクライアントが新しくケーキ屋さんを開店するとします。
そのクライアントは大の矢沢永吉ファンでした。
ケーキ屋のロゴも「永ちゃん風の男らしい、カクカクした感じにしてくれ」とあなたは言われました。

あなたなら「わかりました」と即答できますか?

普通に考えて「ちょっと、待てよ…」と思いますよね。

「確かに永ちゃん風の男らしいケーキ屋なんて、今まで無かったかもしれない…。これはもしかしたら…いや待てよ、ケーキを買うのはたいてい女の人だよな…。お好み焼き屋ならアリかもしれないけど、ケーキ屋で永ちゃん風はナシだろ。」
みたいな思考になりますよね。

仮にクライアントから言われたとおり、「永ちゃん風の男らしいケーキ屋さんのロゴ」を納品すれば、クライアントは大喜びするでしょう。
「さすが、デザイナーだね。俺の要望どおりバッチリいいの仕上げてくれたね」ぐらい言われることでしょう。
ただ、このケーキ屋さんはうまくいかない確率が高いです。
「永ちゃん風の男らしいケーキ屋さんのロゴ」をみた消費者は、このケーキ屋さんのケーキを食べてみたいと思わないからです。

永ちゃんが悪い訳ではありません。
ケーキ屋さんで「男らしいイメージ」という組み合わせが悪いのです。
一般消費者のイメージというのは、ほぼ出来上がっています。
そのイメージにそぐわない店構えだと、お店にすら入ってもらえない可能性のほうが高いのです。
このへんはデザイナーだと感覚的にわかると思うのですが、素人の人は意外とわかっていなかったりします。

なので、「男らしいケーキ屋」というのは極端な例えですが「クライアントの好みのデザインを作る」=「クライアントが喜ぶ」ではないのです。

思い込みの激しいクライアントの対処法

僕なら、クライアントに確認します。
「あなたが、永ちゃんを好きなのはわかります。ただ、あなたがこれからオープンしようとしているのはケーキ屋さんです。ケーキ屋のお客さんは女性がメインです。もう少しシャレた、美味しそうなケーキを扱っていそうだなと連想させるロゴや店名にしたほうがいいのではないでしょうか」と。

そこで明確な回答がクライアントから得られれば納得して作るかもしれません。
「うちのケーキは女性がメインじゃないんだ。男子スイーツブームに乗っかって、男らしいケーキを出すんだ」みたいな事を言われれば、もしかしたら納得するのかもしれません。

たとえ明確な回答が得られなくても、クライアントがどうしてもこれで行くと言えば、あなたは商業デザイナーとして作らざるをえないでしょう。

どうしても、そういう状況におちいった時には手間はかかりますが、違う趣向のデザインを2~3パターン用意するといいでしょう。

1.クライアントの要望どおり「男らしいケーキ屋」のロゴ。
2.一般的なケーキ屋さんのイメージで、オシャレな食欲をそそるようなロゴ。
3.(2)をベースに、さらに進化させて自分がこれだと思う個性的なデザイン。

クライアントは比較対象になるデザインをみると、たいてい納得するものです。

「ああ、やっぱりケーキ屋さんってこういう感じだよね。」となるはずです。

もちろんあなたが「世間一般の人が思う商品に対するイメージ」を自分のなかで共有していないと、クライアントの考えをくつがえすことができないのは言うまでもありません。
日頃からいろいろなものを見たり、聞いたり、話したりして、「世間一般の人が思う商品に対するイメージ」を共有するという事を習慣にしてください。

まとめ

デザインを提案するうえで一番に満足させる相手は、クライアント(発注者)ではありません。ましてや打ち合せを担当している営業でもありません。
いつも意識するのは、クライアントや打ち合せ担当のもっと先にいる、エンドユーザー(消費者)だということを忘れないでください。
そうする事によって、最終的にはクライアントの利益につながる、クライアントが喜んでお金を払ってくれる、良いデザインを作れるはずです。

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