グラフィックデザイナー独立奮闘記

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広告代理店のデザイナーとして10年働いてきて、この会社のダメだなと思うところ

広告代理店のデザイナーとして10年働いてきて、この会社のダメだなと思うところ

皆さん明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いしますm(_ _)m

さて今回は、先日書いた「独立を目の前に、小さな会社で働いてきて良かったと思うところ」の続きで、反対に僕が勤めていた会社の『ここはダメだったな』と思うところを書いてみようと思います。

それでは。

採算度外視で、とにかく仕事をとってくる

このご時世なので、どんな業種であってもクライアントから値引きを要求されるのは仕方ありません。僕ら広告の仕事でも、印刷物などに関してはネット通販の存在で、今まで地場の印刷会社に頼んでいた金額ではとても太刀打ちできないことがよくあります。

参考記事:僕が副業でよく使うネット印刷通販まとめ

僕も印刷代に関していうと「同じものが納品されるのなら、1円でも安くして欲しい」というクライアントの気持ちもわからなくはないので、『印刷にかかる見積作成』『下版データ作成』『納品や集金の手間』など、実質印刷にかかる時間などを考慮した最低限の利益がとれていれば、多少の値引きはOKだと思っています。

これが、僕が勤めていた会社では『とにかく、なんでもかんでも仕事をとってくる』という方針。『金額が合う、合わないは後で考える』ので、とにかく仕事をもらうのが最優先という考えでした。

その結果こんな仕事が頻発してきます。

名刺印刷の仕事であった、ひとつの例

ここではわかりやすく、基本デザインが出来上がっている『在版デザインの名前差し替え案件』を例にあげます。

名刺の発注を電話で受け、名前部分を差し替え印刷屋さんに発注(作業時間15分)

後日印刷物が届くと、集金に備えて領収書などを準備(作業時間15分)

クライアントに、片道30分往復1時間かけて納品と集金(夜のお店なので、何かのついでに寄ることができない…)

この仕事の利益は、なんと1件300円!

単純に計算しても1時間30分の手間をかけて、利益がたったの300円です。百歩ゆずって、他の仕事で大きな売上げを頂いているクライアントということなら話は別ですが、このクライアントの仕事はこの名刺だけ。

その結果、こういった採算度外視の仕事が頻発することで、本来時間をかけたいはずの『利益率の良い仕事』に悪影響を及ぼし、仕事の回転率も落ちていきます。

一度受けた仕事は断らない方針の会社だったので、途中で軌道修正することもなく、毎日忙しく朝から夜中まで働いているのに会社の売上げは一向に伸びないという、まさに悪循環。規模が大きくシステムもしっかりしている会社であれば良いのでしょうが、少人数の会社でこのような仕事の受け方をしていると、会社は確実に疲弊していきます。

これは僕の主観ですが、自分の能力や付加価値に自信がない経営者というのは、仕事が途切れることを極端に嫌い、後先考えずこういった経営に走ってしまいがち。

どちらにしても、このような会社に未来はありません。

妥当なデザイン代を請求出来ない

何を持って妥当なデザイン代というのか、もともとわかりずらい業界ではありますが、僕がデザイン代を算出する基準としているのは、今のところ『自分が制作にかけた時間×1時間あたりの制作単価』を目安にしています。

参考記事:副業をするときのデザイン代や印刷代の金額について(イラレで使える見積書付)

が、僕がいた会社、特に立ち上げのころは、例えばチラシやDMの新規案件が入ると印刷屋さんから上がってきた印刷代に一律3割くらい上乗せして見積りを提出。見積りの項目は印刷代のみで、デザイン代などの項目は一切なかったのです。

媒体をメインで扱う広告代理店だったので、媒体マージンや印刷代で利益がとれていれば良しという考えで始めたのかもしれませんが、デザインというものに付加価値をつけるという考えを持っていませんでした。

それが媒体や印刷代だけで利益がとれる時代でもなくなってきたのと、僕の進言もあって今でこそ多少のデザイン代を見積りに入れるようになりましたが、それでも昔からの名残りでA4片面のデザインを作って3000円とか5000円。よくて10,000円程度。

これでチラシの構成を考えて、何パターンもデザインを作っていては割に合いません。

常に数パターンのデザイン案を要求される

さらに、営業マンがデザインの付加価値というものに自信がないので、無駄にたくさんのデザイン案を作らさせることがよくありました。

例えばトータルの利益が10,000円の仕事で、

営業マン「デザイン、パターン違いで3〜4個作ってよ」

デザイナー「クライアントがそれを要求しているんですか?」

営業マン「いや、そういう訳じゃないんだけどさ…なんとなく、それくらい作っていけば喜ぶかなと思って…」

デザイナー「そんなに作ると1日仕事になりますよ」

営業マン「頼むよ〜」

みたいな感じ。

僕も直接クライアントと打ち合わせをしていたので、『クライアントと良好な関係を築きたい』『クライアントが複数のデザイン案を求める』など、こういう営業マンの気持ちもわからなくはないですが、デザイナーがデザイン制作にかける時間という原価の部分を無視した仕事をしている会社は、結果デザイナーの技術の安売り→ひたすら数をこなす→デザイナーの自信喪失や気持ちがすさんでいき、会社の体力が落ちるという悪循環に陥ります。

これは、『適切なデザインをデザイナーが制作できる』というのが前提の話ですが、デザインは数を作ればいいというものではなく、質の方が大事だと僕は思っています。僕が直接せっしてきたクライアントから感じる印象も、むしろたくさんのデザイン案を見せられるよりも、質の良いひとつのデザインを求めている場合が多いです。どうしても、複数のデザイン案を見てみたいというクライアントには、それに応じたデザイン代を提示するだけです。

そもそも、デザインの薄利多売はNG

例えば、コンビニやスーパーのようにすでに出来上がった商品を売るような業種であれば、薄利多売の価格競争に巻き込まれたとしても、ある程度は対応できるかもしれません。『大量に仕入れることで原価を安くする』『その商品の利益は低くても、その他の商品でカバー出来る』『とにかく数を売って採算をとる』など。

ただ、デザインに関しては『何も無いところから、何かを生み出す商品』それは時間もかかるし、大量生産もできません。このへんのことが、この会社はわかっていませんでした。会社の方針としては「とにかくスピーディーに数をこなしてくれ」「効率よく、たくさんのデザインを作ってくれ」

デザイナーに『某全国チェーンの牛丼屋さん』みたいなことを要求されると、作ってるほうのモチベーションは当たり前のように下がっていきます。

上でもお話しましたが、僕のなかでは印刷代を値引きするのはOK。一度デザインやデータを作ってしまえば、あとの作業は印刷屋さんにお願いすることになるので、自社での最低限の利益が取れていれば、あとは印刷屋さんが頑張れるのかどうかの問題です。

ただ、デザイン代や制作進行など『自分たちが作ったり動くことで、時間が発生するもの』に関しては、自信を持って付加価値をつけ、採算がとれる金額で売る必要があると思っています。この料金を下げてしまうと『いつまで経っても長時間労働の割には会社が儲からない』という、負のスパイラルから抜け出せない。この会社で、そう実感しました。人が少ない会社だと、なおさらです。

なので、僕が今後フリーランスでやっていくにあたっては、値段で勝負するのではなく『デザインの良さで勝負する』『対応の良さで勝負する』『より良い提案で勝負する』というように、自分自身に付加価値をつけることに注力したいと思っています。

まとめ

僕は幸いこのような会社にいたので、『デザインの安売りは絶対にしない』と固く心に誓うに至ったのですが、これもこの会社にいたから感じられたこと。

逆にデザイン代を相場以上の金額で提示するような会社で働いていたら、自分のおごる気持ちで足下をすくわれていたかもしれません。

COMMENTS & TRACKBACKS

  • Comments ( 2 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. 以前の記事もとてもとても参考になりましたが、今回も良かったです!
    ほんとデザイン料に関しては、営業とのギャップがありすぎて困ってものですものね(笑)
    良い記事、ありがとうございます(^^)/

    • a-designさん、こんにちは。

      書いたばかりの記事に早速お褒めの言葉、ありがとうございますm(_ _)m
      お役に立てれば嬉しいです。

      デザイナーは自分の時間と身を削って作っているので、そうそう安くはできないですよね。
      作っていない営業マンにはわからないのかもしれません^_^

      a-designさんのホームページ拝見しました。とても素敵ですね。
      こんどゆっくり見せて頂きます。

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