グラフィックデザイナー独立奮闘記

失敗も後悔も振り返れば全てが成長。そんなグラフィックデザイナーがフリーランスになるまでのアウトプットブログ。

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デザイナーたるもの手を動かす暇があったら頭を動かそう

デザイナーたるもの手を動かす暇があったら頭を動かそう

グラフィックデザイナーにとって最も大事な事

皆さんはグラフィックデザイナーにとって一番大切なことは何だと思いますか?

・しびれるぐらいバリバリにカッコいいデザインを作って、クライアントの度肝をぬく!
・流行を取り入れた斬新なデザインで時代の最先端を突っ走る!
・自分にしか表現できないようなアーティスト色の強い作品と強烈なインパクトで自分の名前を覚えてもらう!

…残念ながらどれも違います。

もちろんバリバリにカッコいいデザインが作れたほうがいいし、流行にも敏感にこしたことはないです。
個性やインパクトのある作品が作れるほうがいいのですが。

その前に一つ大事な事があります。

グラフィックデザイナーにとって重要なスキルとは

クライアントが提供する商品やサービスを的確に把握して、それをエンドユーザーに向けて最適な方法で視覚化する

という事です。

例えば新規のクライアントでこんな依頼が来たとします。

お店は、ごくごく一般的な住宅街の中にある「タマ美容室(仮名)」。
このお店に通うお客さんも、ごくごく一般的な近所のおばちゃんやおじちゃんです。
最近、売上が落ちてきたのでチラシを近所にまきたいという依頼です。
クライアントは「デザインはとりあえず、おまかせします」と言っています。

う~ん、どんなデザインがいいんだろう?

・しびれるくらいカッコいいデザイン。
・斬新でアバンギャルドなデザイン。
・アーティスト色の強いデザイン。

あなたなら、どんなデザインを提案しますか?

少し考えたら、どのようなデザインがいいのかわかります。

この作る前に考えるという事がとても重要。

当たり前といえば当たり前ですが、この当たり前のことが「できていない」「理解していない」デザイナーさんが結構います。

「タマ美容室」のチラシが急にアバンギャルドになっていたら、お客さんも戸惑いますよね。

僕なら、わかりやすく文字が大きめの誰が見ても見やすいデザインにすると思います。

なぜなら、このお店にくるであろうお客さんが、個性やアバンギャルドな感じを求めていないだろうと思うからです。

近所のおばちゃんやおじちゃんは、若い人と違って毎回違う髪型というよりは、いつもと同じ髪型・いつもと同じ「タマ美容室」を求めているだろうと考えるからです。

このへんをわかっていないデザイナーさんが結構いる気がします。
「わかっていてできない」なら、まだいいですが「そもそも考えていないデザイナー」さんは残念な気がします。

残念なデザイナー

僕が以前一緒に仕事をしていたデザイナーのひとりに、Nさんという人がいました。

Nさんはクライアントや打ち合せ担当の営業からデザインの依頼がくると、いきなりMacに向かって制作に入るタイプでした。

いつものルーチンワーク的な仕事であれば、それでもかまわないのですが、新規のクライアント・未経験の業種でも早速Macで作り始めました。

おっ!この人はクライアントの情報と、その業種、そして完璧なラフデザインが頭の中で出来上がっているのか!?という勢いです。

ただ、制作段階でずいぶん迷っているようでした。
これは当然です。
ゴール地点がわからないまま、フルマラソンを走っているようなものだからです。
迷いがあるので制作にも時間がかかります。
あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。
最終的に出てきたデザインを見ても「う~ん…」という感じです。

Nさんは今自分が持っている引き出しと知識・感覚だけで作っています。
案の定、出てきたデザインもどこか的外れで、いつもAさんが作っているパチンコ屋のデザインと同じパターン。

Nさんがつくるデザインは美容室のチラシであろうが、スーパーの安売りのチラシだろうが、パチンコ屋のチラシだろうが、すべて同じパターンなのです。

それはイラストレーターやフォトショップを使って、実際の制作に入る前に十分下調べをして、十分考えていないことが原因です。

デザインを作るうえでの心得

・これからデザインをはじめる。
・現在デザイナーの修行中。
・自分のデザインは最高のはずなのに、なぜかクライアントや営業から直しばかり入る。

という方で、深く考えずに制作に入っている方は以下のことを参考に少し行動パターンを変えてみてください。

出来上がったデザインも良くなり、クライアントや周りからの反応も良く、そして一番大事なエンドユーザーの反応も違ってくると思います。

新規のクライアント・未経験の業種の物件を受けたときは

1.制作作業に入る前に、クライアントの提供する商品やサービスの事をぼんやりでいいので調べて理解する。

不動産のチラシであれば、そのクライアントが売り出したい物件が富裕層向けなのか一般庶民向けの低価格路線なのか。
マッサージ店のチラシであれば、男性をターゲットにしたセクシー系なのか、男女を問わず技術や癒しを売りにしたお店なのか。
打ち合せに行けるのであれば直接クライアントにしっかり確認する。打ち合せ担当に確認してもらう。
売り出したい商品・価格・対象・お店の特徴。
これらを把握するだけでも、ずいぶんデザインの方向性が見えてきます。

未経験の業種ならネットや本で調べてもいいですし、クライアントの提供るす商品やサービスを実際に自分で体験できれば、さらにベスト。
体験することでエンドユーザーの気持ちがわかるので、クライアントにも何か提案できることがあるかもしれません。
例えば、クライアントのラーメンを食べたあなたの感想が「こってりとしたスープなのに、くどくない。残さず飲みほせるうまさだ!」と思い、それが万人受けする感想だと思えば、そのままチラシのキャッチコピーにしてもいいでしょう。

2.他の人が作った同業種の作風を見て、ざっくりデザインの傾向を理解する。

今ならインターネットでグーグル画像検索すれば、いくらでも参考画像はでてきます。
雑誌のデザインであれば、本屋で立ち読みしてください。
新聞の広告であれば、とにかく新聞に載っている同業種の広告を見てください。
看板のデザインであれば、街にでて同じようなお店の看板をとにかく写メに撮ってみてください。

そうすることで、その業種のデザインの傾向がだいたい把握できます。

この「デザインの傾向を把握して、あえて外したデザインにする」のと「はじめから外れたデザインになる」のではあとあと大きな違いがでてきます。

3.今まで理解した事をふまえて、自分なりに考えデザインをおこす。

ここからは自分との闘いです。

1と2は考える前のベース作りの段階です。
料理でいうと下準備です。
鶏の唐揚げを作るには事前に下味をつけていないと、「美味しい唐揚げ」にはなりません。

デザインもそれと同じで、しっかりとした下準備(リサーチ)がないと良いデザイン(エンドユーザーに訴えかけるデザイン)にはなりません。
ここから初めて「あなたらしさ」を加えた料理を作り始めることができるのです。

ただ、ここまでの段階でしっかり下調べができていれば、あとはそれほど難しくはないと思います。

リサーチした結果をふまえて、
「今回のデザインはアバンギャルドな感じを入れた斬新な感じが良さそうだ」とか
「このお店の商品はナチュラルでオーガニックなイメージがあるから、できるだけ手描きっぽいアナログな感じにしよう」だとか
「クライアントの意向はとにかく安売りしたいという事なので、スーパーのチラシを参考にしよう」だとか
クライアントの意向、商品やサービスの特徴を考えて、一番エンドユーザーに伝わりそうなデザインを、自分の引き出し、もしくは他のデザインを参考にしっかり考えてください。

4.ラフ制作→実際の作業。

僕の場合は、1.2.3でひととおり考えたあとは、必ずラフデザインのラフを描きます。
時には何種類か描きます。そしてイケそうなラフデザインのラフを元に、実際の大きさ(A4チラシならA4に)で、ある程度仕上がりに近いイメージのラフデザインを仕上げます。
あとはそれを見ながらイラレに落とし込んでいって、微調整するだけですね。

僕の中の一つの仕事にかける時間の割合でいうと、
情報収集3割
考える3割
ラフ制作2割
イラレを使った制作2割
という感じです。

参考記事:『僕が普段やってる、打ち合せからデザイン制作までの手順』

まとめ

手を動かす時間が少ない印象なので、制作にかかる時間が長いのではと思われるかもしれませんが、逆にクライアントからの修正が減り、制作途中の迷いがなくなるので、トータルすると作業時間も短縮でき、クライアントにも喜んでもらえるはずです。この方法を一度試してみて、うまくいきそうなら自分の中で行動パターンを習慣化してください。きっとあなたのデザインは良くなります。

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